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不動産投資観点のシフト
[2008年09月09日]
本日私どものクライアントであるPM(BM)会社にご訪問した時のお話です。
昨年夏にサブプライム問題が表面化して以降、一気に冷え込んだ感のある我が国の不動産市況。それに伴い、AM(PM)会社やビルオーナーに対して「刺さる提案」の内容が徐々に変りつつあるという点についてお互い意見を交わしていました。
『利回りアップ』というが……
これまでも、そして現在も不動産を投資的観点から扱っている人々の最大の関心事は、言うまでもなく『利回り』です。ただしこれまで注目されていた『利回り』とは所謂キャップレートの事。つまり投資額に対する純営業収益=NOI(Net Operating Income)の割合をさします。NOIとは家賃収入に代表されるような日常的に入ってくる収入から、管理費や光熱費といった日常的に出て行く減価償却前の費用を差し引いた利益であり、物件そのものの収益力を図る上で最も重要な指標とされてきました。
しかし昨年末から今年にかけて不動産オーナーがより注目するようになった観点が、実は同じ利回りでも、「NCF(Net Cash Flow)利回り」といわれるものです。NCFとは正味純収益と訳され、NOIに損益項目ではない資本的支出含めた数字であり資金収支を示します。
簡単にいうと、利回り計算の際の支出項目に、日常的な支出のみならず、長期修繕計画に基づいた将来発生することが予想される修繕費や改修費を見越した費用を計上した上で、1年あたりの純収益を求めるという考え方です。
キャップレートより、NCF利回りの方が、より長期的でかつ厳しい視点での利回りが求められる事になります。冒頭にお話した我々のクライアントが算出した6500㎡のビルの試算においても、NCF利回りはキャップレートに比べて約0.7%程、値が下がります。
なぜ今キャップレートではなく、NCF利回りなのか
それではなぜ、不動産の持ち手の関心が同じ利回りでも「キャップレート」ではなく「NCF利回り」に変化したのでしょう。一言でいうと不動産投資の観点がより長期的視点になってきたという事が挙げられます。
外資系金融機関やファンドの日本への不動産投資が活況になり始めた2000年頃、市場では所謂オポチュニスティック型といわれる、高いリターンを求める私募ファンドが多数存在しました。
キャップレート15~20%強となる投資案件も多く、LTV(Loan to Value:投資額のうち、ローンが占める割合)は80%を越えるようなファンドも多く見受けられました。
このようなファンドの場合、基本戦略は短期転売であり、利回りの観点もファンド償還期間内のキャップレートをいかに最大限に引上げるかが焦点となります。そこには長期的視点、例えば10年後にかかる修繕費用がいくらかかるのか?といった視点は重要視されません。
ところが市況が悪化しつつある現在、我が国の不動産への投資が、これまでとは異なり、ある程度長期で保有する事を前提にした戦略にシフトしつつあります。現物である不動産を証券化というスキームで「商品化」することによって、最大のリスクである流動性リスク(いつでも手放せる(売れる)とは限らないというリスク)を解消し、その価値を増大させていった我が国の不動産投資。その価値の増大には物件そのものの収益性(インカムゲイン)に基づくものではなく、次の投資家に転売する事を目的とした視点(キャピタルゲイン)からであり、これらは一般的に投資から投機への変化として捉えられるようなものです。(ちなみにこれがバブルを発生させる原因なのですが)
NCF利回りに対する関心が上がっているという事実は、これらの現状を打破すべく改めて不動産を現物資産と捉えて、長期的視点から見たインカムゲインで不動産の良し悪しを判断しようという、本来あるべき視点が見直され始めている証拠なのでしょう。
不動産のプロとして、より真っ当なPM会社、BM会社の存在意義があらためて問われるここ数年になりそうです。
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船井総研内に発足した不動産ビジネス専門のコンサルタント集団 リアルエステートビジネスチーム(REBチーム)のプロジェクトリーダー。「脱業界常識」をコンセプトに大手から中堅、中小に至るまで多様な企業に対応したコンサルティングを提供。最近は不動産金融分野への進出も始めている。
















