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不動産に対する法人需要と一般需要が異なるのはなぜか
[2009年5月14日]
2009年は歴史的転換点
4月には様々な昨年度を振り返る様々なデータが発表されます。
不動産経済研究所が発表によると平成20年度の首都圏マンションの販売戸数は前年比度30.9%減の4万166戸、3年連続の前年度割れで、5万戸を切ったのは平成4年度以来16年ぶり。この数字は予測されたとはいえ、かなりの衝撃的な数字です。平成17年までの5年間は常に8万戸を超えていた市場。ほんの3年前と比較すると、いきなり半分以下になったという事になります。
足元の09年3月はデベロッパーの投売りもあり、若干在庫が減ったものの、新規供給は引き続き前年比割れ。ちなみに販売戸数の前年割れは19ヶ月連続です。
三鬼商事が発表した09年3月時点の東京ビジネス地区(千代田・中央・港・新宿・渋谷の計5区)の大型ビル(基準階面積100坪以上)の平均空室率は6.05%で、4年2ヶ月ぶりに6%を超えました。先月、3年8ヶ月ぶりに5%を越えたばかりだったのですが。平均賃料も昨年9月から下落しつづけており、賃料は下がる一方、空室率は上がるという悪循環が続いています。
一般の不動産需要のひとつの目安にもなるマンション販売の回復はまだまだ時間がかかりそうですし、法人の現状もオフィス市況を見る限り、かなり厳しい状況にあることが予想されます。このように、不動産の市況データをみると、あらためて今の法人、個人の需要に対するパワーの現状が見て取れます。
ただし、最近、つとに感じるのは企業の景況感と一般消費者の需要に対する動向について、かつてのような一般的なロジックが通らなくなってきているように感じています。
通常、企業業績が上がれば、消費者でもある従業員の所得が向上するため、購買力があがり、より消費環境が活性化される。つまり、企業業績の向上→従業員賃金の上昇→消費意欲の回復→更なる需要の喚起→企業業績の更なる向上といった循環が発生し、両者には正の相関関係が生まれるはずなのです。この状態を経済学ではディマンドプル型のインフレと呼んだりもしています。
上場企業の業績が過去最高益を記録しているにもかかわらず、消費者の購買力は上がってこない、企業の景況感は上向き加減なのに、消費者の財布も紐は固い など、ここ数年、企業と一般消費者の間における需要マインドに大きな格差が生まれているように感じます。
その要因は、様々な点が上げられると思うのですが、一番大きい点は、上記のロジックのうち「企業業績の向上→従業員賃金の上昇」という部分が成り立たなくなってきた事ではないでしょうか。
グローバルな競争に晒されているあらゆる企業は高付加価値でかつ低コストの商品・サービスをつくり続けなければ、勝ち残ることはできない時代になりました。
企業として、このような環境化で最も融通が利いて、かつ最もその効果が高いのは、ずばり「人件費」です。
人件費を圧縮するために、これもまたグローバル資本主義の枠組みを利用して、より低コスト、低賃金で雇用できる場所、人を活用するようになりました。新興国の安い労働力の活用、外国人労働者の活用、正社員から契約社員、パート社員へといった流れは、収益性を追求する企業にとっては止めることができません。
これまでは、高品質、高付加価値な商品を作るためには、それだけの原価がかかるので、それを売価に転嫁させます。売価があがっても、消費者である従業員の給与もあがっているので十分に需要が確保できる。つまり物価上昇率と賃金上昇率が同様に上がっていれば、何の問題もないはずなのです。それが先に述べた「労働のアウトソーシング化」という現象がおこることによって、成り立たなくなる。
サブプライム問題以前から続いていた分譲マンション不況などは、このような例の典型のような気がします。
競争が激化されたことによる用地価格の高騰や、石油価格の高騰による資材価格の上昇、技術者不足による建築コストの高騰などを、事業主として販売価格に転嫁させた結果、そのあまりの価格に消費者の所得が追いつかず、一気に消費不振を招いてしまったのです。
このように、法人向けの不動産と一般向けの不動産においても、需要動向が一致しない現象が良く見られます。もっとも今は、先に述べたように法人も一般も両方とも芳しくないので、「本当に良くない」ということで間違いはないと思うのですが。
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船井総研内に発足した不動産ビジネス専門のコンサルタント集団 リアルエステートビジネスチーム(REBチーム)のプロジェクトリーダー。「脱業界常識」をコンセプトに大手から中堅、中小に至るまで多様な企業に対応したコンサルティングを提供。最近は不動産金融分野への進出も始めている。
















