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コンサルティングレポート

リスク分散とシナジー効果から事業ポートフォリオを考える

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[2009年8月27日]

2009年は歴史的転換点

景気低迷期には事業の「選択と集中」が声高に叫ばれる傾向にあります。好景気に、旺盛な需要の波に乗って様々な事業に手を出してきた「多角化経営」を見直そう、コア事業に経営資源を特化しようという論調です。 もちろん、需要が低迷する不況期においては正論ではあるのですが、これは理解の方法を誤ると、次のように解釈される場合があります。
すなわち、「多角化」そのものが否定されるものであり、「選択と集中」=「単一(もしくはそれに極めて近い)の事業のみに集中」することにはリスクが少ないから良いという理解です。過去の歴史を振り返るまでもなく、「多角化」は経営戦略上、有益な戦略オプションの1つであり、その最大の効果は「リスク分散」です。
一方「選択と集中」は、リスクテイク。株や不動産の投資と同様に、同じような銘柄やアセットにのみ投資することはハイリスク、ハイリターン。市場の波は流動的であるが故にある程度様々な種類の株やアセットに投資しよう、いわゆる投資のポートフォリオを考えよう、という論理は投資概念の基本中の基本です。
つまり、不況期に「選択と集中」が求められる背景は「多角化」における事業の組合わせの問題、つまり「選択と集中」によって「選択」の幅や手法の誤りを見直すべきではないかということなのです。
このように考えると多角化(複数の事業を同時に行う)を展開するにあたって最も重要な視点は「リスク分散とシナジー効果」です。不動産業種、特に住宅関連事業はその入り口から出口まで、またハードからソフトまで様々な商品やサービスが展開されています。
それぞれの事業をリスク分散とシナジー効果という観点から各自業のつながりを紐解いてみると面白い分析ができます。例えば分譲マンションと賃貸マンションの開発の両方を手がけている企業。マクロ的な需要という観点で両事業を見てみると、分譲マンションは持家需要、賃貸マンションは賃貸需要に支えられています。
一般的に新設住宅着工は、持家と借家でその大部分が占められておりその関係は「負の相関関係」にあります。通常、好景気は持家の割合が増え、不況期は賃貸の割合が増えます。
つまり、この2事業はマクロ的な需要に対してのリスクを補完しあう関係にあると言えます。また分譲マンション、賃貸マンション管理事業はそれぞれリフォーム需要や売買仲介需要、共用部修繕(大規模修繕)需要などと「正の相関関係」にある事業です。
管理戸数(物件数)が増えれば増えるほど、上記のような二次的需要のチャンスは増えるはずです。これらは、事業間の相乗効果(シナジー効果)が高く、ビジネスモデルとしても、セット受注や周辺需要を囲い込む為のマーケティング施策などが、大変重要かつ有効な打ち手となります。
大手のグループ系不動産企業群が、今、必死で、グループ間におけるこのリスク分散とシナジー効果の効用最大化に、努めています。
ハウスメーカーのリフォーム需要の囲い込み、ハウスメーカーの不動産仲介ニーズの囲い込み、マンションデベロッパーの管理業務の囲い込み、管理会社のリフォーム需要囲い込み管理会社の大規模修繕事業の囲い込み。
例を挙げると切りがありません。
顕在的な需要が低迷する中、新規顧客獲得コストは増大する一方です。ひとつの入り口からいかに複数の商品を販売していくか。自社の「リスク分散」と「シナジー効果」、一度検証してみてください。

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(株)船井総合研究所 経営コンサルタント 久木田光明

船井総研内に発足した不動産ビジネス専門のコンサルタント集団 リアルエステートビジネスチーム(REBチーム)のプロジェクトリーダー。「脱業界常識」をコンセプトに大手から中堅、中小に至るまで多様な企業に対応したコンサルティングを提供。最近は不動産金融分野への進出も始めている。



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