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オフィスビル市場の今とこれから ~都心の空室率は過去最悪 今後も実需の回復は厳しい~
[2010年3月15日週刊ビル経営第661号掲載]
東京都心でもオフィス空室率は過去最悪
2010年に入り、今の日本の景況感を一言で表現するならば、多くの市場において、若干ではあるが底からの浮上を感じられるようになってきたというところではないだろうか。実際、私どもの顧問先企業において、特に住宅の新築、中古流通企業においては、その傾向が顕著であり、今年の1月-3月の業績が好調な企業が多い。住宅価格の下落に加え、住宅版エコポイントの開始、フラット35の金利引下げなど、国の住宅投資を促進させる政策も徐々にその効果を見せ始めている。
対称的なのは法人の不動産市況。まだ底が見えない。先日、三鬼商事が発表した2010年2月末の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の空室率(解約予告を含む)は8.66%。前月比0.41ポイント上昇し、調査開始以来、過去最悪の値となった。一般的に景気回復時におけるオフィスビル市場の動きは、住宅市場の回復と比較して遅効性があるといわれている。取引の主体が法人であるオフィスビル市場では、価格の下落や金利の低下といった要素が、個人に比べてそれほどダイレクトに需要喚起につながらないという特徴が挙げられる。
例えば、オフィスの増床や移転のケースを考えると、いくら賃料が下がり、フリーレント期間が長い良い物件が出たとしても、実際その企業の業績が拡大していなければ、それを実行にうつすという事は考えにくいであろう。
また波及効果も含めるとGDPの約10%にあたる50兆円もの規模があるといわれている住宅投資には、不景気の際には、国も最重要施策の1つとしてこの住宅需要を喚起させる政策を積極的に展開する。以上のことから、住宅需要がすでに少し底からの脱却を図りつつあるのに対し、オフィス市況はまだ底が見えないという今の状況は、理論的には納得できるものであるともいえる。
オフィス市場の回復はいつなのか
それでは、景気回復に対し遅効性を持つとは言うものの、オフィス市場はいつこれまでと同水準程度に回復するのであろうか。大変ネガティブな意見を言わせて頂くと、「回復そのものが危うい」という見方もできる。
第一にオフィスの需要主体となる企業、そこで働く労働力人口は今後減少の一途を辿る。加えて既に都心のオフィスは供給過多の状態が続いており、特に今は新築・築浅の物件の空室率が極端に悪化している。
前述の三鬼商事の調査によると、都心五区の新築ビル(築後1年以内)の2月の空室率は30.38%と全体を大きく上回っている。これは不景気による事業縮小という一時的な影響もあるが、全体として企業の「サービス産業化」進み、必要とされるオフィスの規模が昔に比べて小さくなっているという点も見逃せない。
更には、これは不動産を保有(開発)しようとする側への影響が大きい点ではあるが、企業経営上、不動産を保有するメリットが薄れつつあるということ。不動産は時価で評価され、メリットよりもリスクが表面化するケースが増えてくる。そのリスクをヘッジする費用もバカにならない。以上のことから、今後のオフィスビル市場の活性化を実現する為には、「実需」という側面からは、その実現がかなり難しいことが想像出来る。
一方「金融的需要」「投資的需要」は、不動産というものの特性上、景気回復局面ではお金の行き先としてある程度集中することが予想される。「実需」は低迷する一方「投資」が過熱する。これはいうまでもなく「バブル」であり、その後にはその崩壊が待っている。
オフィスビル市場の回復については、以上の点を踏まえて注意深く慎重に見ていく必要があるといえるだろう。
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船井総研内に発足した不動産ビジネス専門のコンサルタント集団 リアルエステートビジネスチーム(REBチーム)のプロジェクトリーダー。「脱業界常識」をコンセプトに大手から中堅、中小に至るまで多様な企業に対応したコンサルティングを提供。最近は不動産金融分野への進出も始めている。
















