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不動産のフェアバリュとは~高度化・多様化する不動産の価値概念をつかむ~
[2010年4月19日週刊ビル経営第665号掲載]
ここ数年、我が国においても不動産の価値を図る上で、収益還元的な思考に基づく価値が重視され始めてきました。不動産が生み出すキャッシュフローに軸足を置いた価値がまさにフェアバリュであるという認識です。
その証拠に例えば不動産鑑定士の鑑定評価基準においてこの収益還元価値が、他の評価基準よりも重視されています。また投資額に対する年間の賃料収入の割合を示す「還元利回り(Capitalization Rate:キャップレート)」という言葉も一般的になりました。
ところで、不動産の公正価値(フェア・バリュ)とは究極的には何によって決まるのでしょうか。全てを市場の需給関係、つまり市場メカニズムに依存するとすれば、それは過去に繰り返されてきた不動産バブルの発生と崩壊で明らかなように、それを公正価格と呼ぶにはいささか抵抗があるように感じます。取引事例法による不動産価値の算出は、まさにマーケットバリュによる積算方法といえ、ここにこの手法の一つの限界を見出すことができるとも言えます。
では、収益還元法による価値算出が何の問題もなくフェアバリュと呼ぶにべストなのかというと、それもまた疑問が残ると言わざるを得ません。算出根拠となる収益、つまり賃料もまたその適正価格の算出にはいくつかの不確定な要素が組み入れられており、今度は適正賃料の評価のあり方という別の問題に直面してしまうのです。当然実際の不動産収益には、賃料の変動リスクのみならず、空室リスクやフリーレントといったような更に別の不確実な要素が折り重なっており、本当の意味でのその不動産の公正価値を求めるということは、一筋縄でいかないものなのです。
加えて最近では、例えば環境配慮型の不動産には特別な価値を見出される傾向にあることや、逆にアスベスト、土壌汚染、耐震補強の有無といったハード面のリスクに対しても適正な評価が求められるようになった点などを考慮すると、渦中の「フェアバリュの算出」という概念については益々、複雑かつ高度な知識と手法が求められるようになってきたといえるでしょう。
つまり、これまでのような不動産の価値をマーケットバリュに100%依存する時代から、より該当する不動産の個別性、独自性が重視されかつ設定根拠の不確実性が拡大する中で、フェアバリュの算出方法は高度化・多様化しているということです。そんな中、私たちは何ができ、何をすべきなのでしょうか。
個人も、企業も、また不動産を取り扱う業者もまた、この事実を認識し、その不確実性要素がリスクとリターンに与える影響を十分に認識し理解する必要があるということです。換言すると、今の時代、不動産を取り扱うという行為は、以前に比べ、より分析的で、より論理的で、よりリスク対応重視で取り組まなければならないということが言えるでしょう。
いうまでもなく、資産形成の一環として「とりあえず」不動産を保有するだけでは、すでに立ち行かなくなっているのです。だからこそ、またそこにこそ、ビジネスチャンスがあるとお感じになった読者の皆様は、賢明といえるかもしれません。
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船井総研内に発足した不動産ビジネス専門のコンサルタント集団 リアルエステートビジネスチーム(REBチーム)のプロジェクトリーダー。「脱業界常識」をコンセプトに大手から中堅、中小に至るまで多様な企業に対応したコンサルティングを提供。最近は不動産金融分野への進出も始めている。
















