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CRE戦略とIT戦略 ~自社の保有・賃貸する不動産の情報を一元かつタイムリーに管理するITの活用~
[2010年7月5日週刊ビル経営第675号掲載]
ここ数年企業を取り巻く環境は、経済のグローバル化、直接金融の進展、IT技術の発展等により、よりグローバル化・ボーダレス化が進展しています。それに伴い、我が国の会計制度においても、このような実態に沿う形で、年々、国際会計基準へのコンバージェンスを目的とした制度改変が進んでいます。
これに伴い、企業不動産の評価も、これまでの取得原価を基本とした方式から、より時価を反映する会計方式に改められることが求められ、またそれにより、不動産市場の価格変動リスクが、企業経営、特に決算対策に直接的影響を与えるようになっています。換言すると、企業経営に関わるあらゆる不動産の時価評価、管理状況、有用性の評価等をタイムリーかつ持続的に把握せざるを得ない状況になりつつあるといえます。まさにCRE(Corporate Real Estate)戦略の必要性、重要性が増しているといえるでしょう。
このCRE戦略を実践する上において必要不可欠な前提となる、現状把握、問題点の抽出、解決策の立案、解決策の実行、効果検証といったCREマネジメントの推進には必ずITによる不動産データベースの構築が必要不可欠になってきます。
CRE戦略を実践するにあたり最初で最も苦労する作業の1つが「自社に関わる全ての不動産の把握」そのものです。どこに何がどれだけあるのか、その権利関係を含めた法的背景はどのような形態になっているのか等々、いざCRE戦略を考えようと試みた際に、最初にぶつかる壁がこの点です。
通常教科書的なCRE戦略構築のプロセスに従うと、関係する不動産のセグメント分けからスタートします。即ち、当該不動産がコア事業に関わるものなのか、ノンコア事業に関わるものなのかという点と、事業用不動産なのか投資用不動産なのかという4象限のマトリックスを作成し、関わる不動産を分類していきます。基本的にはこの属性毎に物件を管理、把握していきながら、それぞれの物件の最適な活用方法(維持保有、賃貸、売却等)を検討していくわけです。
日常的な各不動産の管理の報告書、賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準の制定の対象となる不動産の時価情報、各不動産の「市場価値と使用価値のバランス」に関する情報等、これら企業の不動産に関わるあらゆる情報は、本来は一元管理され、いつでもどこでもタイムリーにアウトプットができ、経営上の意思決定をスピーディーなものにする助けとならなければならないと言えます。その為のITの活用は非常に重要であり、自社の不動産データベースはCRE戦略を構築する上で有益な示唆を与えてくれるものと言えます。なぜなら定量的なデータを客観的に分析することができるからです。これらはエクセルの簿価管理だけでは限界があります。
日々変わる不動産に関する情報を一元管理する事の意義は、CRE戦略の観点のみならず、2008年3月から金融商品取引法に基づく内部統制報告書の提出が義務化された、いわゆる「日本版SOX法」に照らし合わせた上でも重要な施策となります。この制度では、適正な財務報告を実現するために、「業務の有効性及び効率性」「財務報告の信頼性」「法令等の遵守」「資産の保全」の4つを目的とし、適切に業務が実施されているか否かについて企業が内部統制報告書を作成します。
それを監査法人などがチェックするというものですが、中でも不動産は、企業の保有する資産の中でも大きなウェイトを占めるものであるため、不動産のマネジメントは上記4つの目的のうち特に「業務の有効性及び効率性」や「資産の保全」などに大きな影響を与えるものといえます。
よって不動産に関する意識決定をおこなうためのITの活用、そしてそれらを運用する組織・体制の構築は今後の企業経営を見据えた上で、必要不可欠なものであり、それらへの対応も急務であるといえるでしょう。
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船井総研内に発足した不動産ビジネス専門のコンサルタント集団 リアルエステートビジネスチーム(REBチーム)のプロジェクトリーダー。「脱業界常識」をコンセプトに大手から中堅、中小に至るまで多様な企業に対応したコンサルティングを提供。最近は不動産金融分野への進出も始めている。
















