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業界トップインタビュー

対談:エスネットワークス 高桑昌也 氏 × 船井総研 吉崎誠二 Part2-Vol.2

IFRS(国際財務報告基準)の最新動向について語る Part2-Vol.2
業界の影響
株式会社エスネットワークス 取締役 高桑 昌也氏

吉崎: 不動産会社とか住宅メーカーとかは、IFRSの導入が遅かったですね。

高桑氏: どちらかというと、日本の開発型SPCに関する会計基準が変更され、従来のオフバランスから連結の方向となったこともあり、その対応に追われていたのではないでしょうか。
逆に小売業、流通業とかだと、IFRSに向けた課題が沢山あったので、今回の延期は準備期間が出来たという点ではメリットかもしれません。
例えば、大手の小売りだと商業施設を証券化して資金調達していましたが、IFRSでは従来の形でのオフバランスは難しくなります。オフバランスできないということは、企業の収益性の低下ということなので、そこをどうするかという論点があります。
また、百貨店やスーパーマーケットでは消化仕入形式の取引が少なくないと思いますが、消化仕入はIFRSでは収益計上の要件を満たさない可能性がある。このあたりも手つかずだと思います。

吉崎: IFRS導入による建設業界への影響はどうでしょうか。工事進行基準はどうなりますか。

高桑氏:  IFRSでも工事進行基準は可能です。ただし、工事の進捗が客観的に示せない限りにおいては、進行基準での収益計上が難しくなるという問題があります。

吉崎: あと分母である、契約時点の見積もり総額の信憑性をどうするのかという問題も言われていた。分子の部分も客観的に持たせるかというところもあるが、一番はやはり、分母をどうするか。分母は見積りなので、ある意味適当に作ることができるのでは。分子は領収書とか請求書などで客観性が担保できますが。悪く言うと分母は不正し放題になる恐れがあった。

高桑氏:  確かに分母たる契約総額は見積りなので、調整の余地はあったと思われます。ただ、IFRSではこういった会計上見積りについても、一定程度の客観性が求められるので、仰られたような調整は難しくなります。

吉崎: 意外だったのが、IFRSを機に会計に詳しい執行役員とか役員クラスが増えるかと思ってましたが、あまり変化がなかったこと。

高桑氏:  JSOX(内部統制)もそうでしたが、ここ数年IFRSとか監査法人の厳格化などバックオフィスの規制が強化しています。一方で、日本企業の業績はそれに追いついていない。業績が上がらないなかでの規制や制度が高度化することによる疲労感で、企業の役員の方もマインドがIFRSに追いついていないのではないでしょうか。

吉崎: リースや他の業界はどうですか。ハウスメーカーとかは、リースを使っている。営業マン用の車とか。

高桑氏:  リースはIFRSも改正中ですが、リースを含む物品の「使用権」についてはあまねくオンバランスする方向です。 営業マン用の車はオペレーティングリースだと思いますが、今後のIFRSの改正によりオンバランスされる可能性があります。

吉崎: それが一番大きい。自動車のリースまでもがオンバランスとなると、リース取引のうまみがなくなっている。リース会社の人達は相当危機感を抱いています。

途中までIFRSの導入を進めている会社は
高桑氏: 上場会社の3割4割ぐらいはコンサルタントを入れて、タスクフォースを作ってIFRSの導入準備をされていると思います。
途中まで進めている会社は、先の大臣の発言で、宙ぶらりん状態になってしまっている。ただIFRSがいずれ導入されることは決まっているので、今導入を止めるのは良い選択肢ではないと思っています。

吉崎: ある電鉄会社ですが、実はバスとか電車では収益が数億円しか上がってない。売上では物凄い売上があるのだけど、プラスマイナスを計算すると、3億とか2億。事実上、賃貸不動産業。

高桑氏: 賃貸不動産については、日本でも新しい会計基準ができて、基本的には時価評価の概念が入ってきています。したがい、IFRSになっても追加の労力はそれほどかかりません。
ただし、減損のテストはIFRSになると厳しくなってきますので、賃貸不動産を多く保有している会社はその対応を考えなければならない。
今こそIFRSを先行することがアドバンテージ
左:
高桑氏: 途中までIFRSの導入を進めている会社は、今ここで辞めるのは極めてもったいないと思います。大半の会社は既にIFRS導入によるインパクト調査は終わっていて、全体の6~7割は進捗しているのではないでしょうか。
2017年という期限は、あくまで法律上の適用スケジュールであり、会社が任意でIFRSに開示することには何も妨げはありません。例えばIFRSを最初に導入した日本電波工業は、数年前からIFRSの任意開示を行ってきて、海外投資家から資金を調達してきました。
IFRS導入を準備してきた企業は、大臣が「延ばす」と言ったからといって辞める必要はありません。任意開示でIFRSを導入すればよいのです。
日本の市場が冷え込んでいるいまだからこそ、IFRSを先んじて導入し、海外の投資家から資金を呼び込み、株価を高めていくというのが、最も賢いやり方ではないでしょうか。


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(株)船井総合研究所 吉崎誠二

1997年 12月船井総合研究所入社。戦略プロジェクト本部 次長。
電鉄会社・大手ディベロッパー・ハウスメーカー・マンション関連企業、など、不動産関連業・住宅関連業を中心にコンサルティングを行う。
調査・分析から、経営戦略立案、商品開発、営業戦略構築 等これまで様々な業務の全体責任者として業務に携わる。
2006年~ 沖縄大学 人文学部 非常勤講師。



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