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コンサルティングレポート

「不動産管理」ビジネスが日本の不動産市場をかえる3 ~あらたな不動産管理モデルの追及と人材育成モデルの確立~

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[2011年10月17日週刊ビル経営第740号掲載]
過去2回にわたり、国内におけるフロー市場の将来展望が決して明るくはない住宅・不動産業界の中で注目、期待が集まりつつある「不動産管理ビジネス」について取り上げている。
前回は、かつては「それほど魅力的ではない」とされていた不動産管理ビジネスが、今何故、期待と注目を集めているのかについてみた。すなわち、不動産グループ戦略の中でこれまでの開発偏重主義からストック重視思考への移行が進みつつあるという点と、デフレの長期化により、不動産の持ち手の意識がキャピタルゲイン重視思考からインカムゲイン重視思考に変りつつあるという2つの点である。
このような内的・外的環境の大きな変化は、ここ数年、不動産管理業界に大きな影響を与えている。第1に、業界内競争が激化し始めている点が挙げられる。つまり、これまでの系列による「暗黙的談合」状態が解消され、既存物件に対する管理会社の切替営業(リプレース営業)が拡大しつつある。
この変化の直接的な要因は、いうまでもなく本業界における「暗黙的談合」状態を可能にさせていたゲームのルールの前提条件、すなわち「系列による安定的な新規供給」が破綻したためである。各社とも他社管理物件の獲得に対し、専属の営業部門を組織化し、自社への切替営業を強化している。
あわせて顧客の管理会社に求める要望も多様化・高度化し始めている。インカムゲインを重視せざるを得ない時代背景の中で、もはや「管理」は単なる管理員の派遣や清掃業務、設備メンテナンスといったハード面の保全ビジネスのみとは質を異にするようになった。
より資産価値という視点、より長期的な視点、より不動産に関する幅広い視点が必要になってきたといえるだろう。
以上のような現状を踏まえると、これから求められる不動産管理ビジネスの新たなモデルについても必然的に見えてこよう。すなわち、
1.不動産グループ全体として「管理セグメント」を中心に据えたストックに対するワンストップソリューシ ョンモデルの構築
2.1を踏まえた人材育成、組織等のマネジメントモデルの構築
という2つの点だ。
前回にも述べたとおり、不動産事業はこれまで開発、つまり新しいものを建てることを中心に業界全体が成長・発展してきた。管理をはじめとするその他の事業(仲介やリフォーム)はあくまでも開発のアフターフォロー的な役割であり、その存在価値としては積極的な収益獲得というよりは、グループとしての「収益の取りこぼしを防止する」という側面が、その主なインセンティブであったように思われる。
しかしながら、今後は、少なくとも国内市場においては、ストックを中心に不動産ビジネス全体を構築せざるを得ず、日常的かつ長期的に不動産と接する「不動産管理事業」の役割は想像以上に大きい。既存の不動産から派生するあらゆるビジネスチャンス、すなわち売買の際の仲介、専有部のリフォーム、修繕、建て替え、入居者への各種サービスの提供等は全て管理事業をプラットフォームに据えて、積極的に獲得する体制をグループ全体として構築しなければならない。
そうなると次に、不動産管理会社にはこのような視点を前提としたマネジメントモデルの構築が必要不可欠になるだろう。例えば、求められる人材モデル1つをみてもこれまでは「決められたことを漏れなく愚直にこなし続ける真面目さ」が重視されていたものから、「総合的に不動産の価値を高める施策を創造し提案できる」という視点が求められる。
また、これに伴い、評価制度や人事考課の仕組みにおいても変化が求められるだろう。これまでは「管理」というものがどうしても定量的に評価しにくいという事情もあり、評価の源泉は常に定性的なものに依存せざるを得ないという特徴があった。
しかし、今後は不動産ストックビジネスにおけるプラットフォームの役割が増えれば増えるほど、定量的な評価の側面も色濃く出る可能性も高い。このように、求める人材像の変化や求める役割、それによる評価の変化は、当然に企業全体のマネジメントモデルの改革を余儀なくさせるであろう。
よく欧米では、不動産を扱うプロは日本に比べ、その社会的地位や評価が非常に高いと言われている。それはひとえに「ストック重視」の視点が強い市場において、管理担当者(プロパティマネージャー)の手腕を発揮する機会が多いことがその背景にある。
わが国においても、「選択の余地なく」という事情はあるにせよ、まさに「ストック重視」の時代が始まった。個人的にも、管理事業の新たなイノベーションは今後の日本の不動産市場全体を変える力を持っているとさえ思うほど、この業界に対する期待は大きい。

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(株)船井総合研究所 経営コンサルタント 久木田光明

船井総研内に発足した不動産ビジネス専門のコンサルタント集団 リアルエステートビジネスチーム(REBチーム)のプロジェクトリーダー。「脱業界常識」をコンセプトに大手から中堅、中小に至るまで多様な企業に対応したコンサルティングを提供。最近は不動産金融分野への進出も始めている。



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