リアルエステートビジネスチーム

TOP > コンサルティングレポート > 分譲マンション市場の今後を予測する 1 ~景気の動向に対して遅行する市場現在の低水準トレンドは過去のトレンドとは異なる!? ~
コンサルティングレポート

分譲マンション市場の今後を予測する 1 ~景気の動向に対して遅行する市場現在の低水準トレンドは過去のトレンドとは異なる!? ~

印刷用ページを表示

[2011年11月14日週刊ビル経営第741号掲載]
不動産市場全体の景況感を図るにはまさに様々な側面から分析し、それらを相互補完的に組み合わせて判断する必要があるといわれている。賃料の相場と不動産価格の関係、フローとストックの関係等、その切り口は様々である。
なかでも、景況感を把握する上で見誤ってはならないポイントの1つに、レジデンシャル(居住系)のマーケットとコマーシャル(オフィス・商業系)のマーケットの動きの違いが挙げられる。
もちろん結果的には同じ動きをするのだが、動き出しのタイミングをはじめ、微妙にその流れ、ストーリーは異なっている。今回は、私たちの生活により近い、レジデンシャルの市況、中でもデータも揃いやすく、景気の流れが見えやすいと言われている「分譲マンション市場」の現状と今後の動向について数回のシリーズに分けてみていきたい。
まず、マクロ的な視点から分譲マンション市場の今を見てみたい。 言うまでもなく分譲マンションの供給は他の住宅開発と同様、景気の動向に大きな影響を受ける。さらに特徴的な点を挙げるとすれば、景気の動向に遅行することが指摘できる。
その理由はいたってシンプルだ。一般的にマンション開発は用地仕入れから販売まで2~3年程度かかる場合が多い。よってタイムリーに市況の予想や動向に応じた開発が困難であり、結果、景気サイクルが悪化し、需要が減退しても供給を絞りきれず市況が大きく崩れる可能性が高い。その場合、不良在庫を抱える業者は資金繰りの点から物件を安値で処分することとなり、さらにこのような在庫処分が一巡すれば、供給の不足感から再び市況が回復に向かうというサイクルが生まれるのである。
実際、国土交通省総合政策局が毎月発表している「建築着工統計」からみる分譲マンションの着工戸数の動向と、景気の動向を見る上で有益な内閣府発表のCI(コンポジット・インデックス)の遅行指数とを比較すると、ほぼその動きは一致する。一点、2007年7月から9月においてのみCI遅行指数の動きとかけ離れた着工戸数の急激な落ち込みが起きているが、それは、2007年の建築基準法の改正により建築審査基準が強化されたことによる審査遅れという特殊事情によるところが大きい。この2007年の建築基準法の改正による特殊事情を除けば、2008年半ば頃までは月による多少の変動はあるにせよ、概ね年間ベースで20万戸前後の水準で供給戸数が安定していたといえる。
しかし2008年後半以降の落ち込みは激しく、底を脱した後も回復の勢いは乏しい。それまでの水準の半分にも満たない状況である。このような市況の悪化を受け、2009年にはマンション分譲大手の日本綜合地所や穴吹工務店が破綻、首都圏を中心とする中堅・中小のデベロッパーも次々に倒産した。
このような結果に至る背景には、CIの動きからもわかるとおり、第一にわが国の長期にわたる景気低迷によるところが大きい。またよく言われるように、マクロ需要の構造的な問題、すなわち人口減少、世帯数の伸び率低下、ライフスタイルの変化による持家思考の低下などを抱えており、その例を挙げれば枚挙に暇がない。
しかし根本的に、このようなディマンドサイド(需要側)の事情だけでは、過去のトレンドとは異なる、これほどの急激かつ長期の落ち込みを十分に説明できないのではないだろうか。筆者はむしろサプライサイド(供給側)の事情が、今回の低迷を決定づけさせているのだと考えている。よって、今後、過去のような潤沢な供給へと繋がるか否かの肝は、売り手であるマンションディベロッパー業界の動向、またその業界を取り巻く環境の変化に拠るところが大きいと思われる。
次回はこのマンションディベロッパー業界の業界動向及びそれらを取り巻く環境の変遷についてみていきたいと思う。

印刷用ページを表示



この内容に関するお問い合わせは……
お電話、メールにて受けつけております。お気軽にお問い合わせください。
Webフォームからのお問い合わせはこちらをクリックしてください。


(株)船井総合研究所 経営コンサルタント 久木田光明

船井総研内に発足した不動産ビジネス専門のコンサルタント集団 リアルエステートビジネスチーム(REBチーム)のプロジェクトリーダー。「脱業界常識」をコンセプトに大手から中堅、中小に至るまで多様な企業に対応したコンサルティングを提供。最近は不動産金融分野への進出も始めている。



過去の一覧を読む

            
リアルエステートビジネスチームのご紹介
コンサルティングフィールドについて
コンサルティング実績について
コンサルタントのご紹介
プレス実績
リアルエステートビジネスチームブログ
メールマガジン無料配信登録はこちら
メールマガジンバックナンバーはこちら