J・B・バーニーさんの企業戦略論によると・・・
いうまでもなく規模の経済(economics of scale)による
生産コストの低減は業界への参入障壁を決定づけさせる
1つの要素です。
しかしながら規模と無関係のコスト優位というのもあって、
それには次の5つが挙げられています。
1.自社独自の専有技術
2.ノウハウ
3.原材料への有利なアクセス
4.有利な地理的ロケーション
5.学習曲線によるコスト優位
これらを既存企業が保有していおり、その結果、
潜在的参入者のコストを下回るコストを実現している場合、
新規の参入者にとっては大きな参入障壁が立ちはだかっている
業界と言えるでしょう。
経営戦略(というか経営学)の必要性の萌芽は、
仮に全く同じ生産要素を用いた場合においても、企業によって
コストが異なるという概念が認知されはじめたのがきっかけだと
思います。
すなわち、経済学の世界では基本的には同一生産要素を
用いた場合、そのコストは所与としてみなされ、全ての企業は
そのコストを受け入れるしかないという前提に立っています。
もちろん「規模の経済性効果」という考え方は、ミクロ経済学の
世界でも取り入れられていますが、上記の5つに挙げたような
それ以外のコスト優位の源泉については、あまり経済学の世界では
考慮されることはありません。
特に、1960年代にボスコンが立証し、コンサルティング業界や
経営戦略の存在意義を決定づけた 5.経験曲線効果 の
インパクトは、当時は大きかったようです。
実際、今でもそれは、戦略検証の際に十分に利用できる手法だと思います。
また、これによって、企業のコストポジションは企業の市場シェアを
反映しているべきであるという考え方が根付き、
市場シェアとコストポジションとの関係性も重要視されるようになりました。
この考え方が産まれたことによって、新商品を市場に投入する際などには、
当初、コスト割れをも厭わないほどの価格でとにかく市場シェアを拡大し、
あるシェアに達して以降は一気に利益を高めていく戦略の有効性が
認められるようになりました。
ちなみに、一般的な経験曲線は、経験が2倍になると、コストと価格が
15%~25%下がると言われています。
既存企業にとって見れば、このような参入障壁をちゃんと作れるのかどうか。
またバーニーの視点でおもしろいのは、
これらの参入障壁を作るコスト負担によって、
平均的な利益(完全競争下では全ての企業が平均的な収益に収斂する)を
下回らない事が条件であるという指摘をちゃんとやっている点。
完全競争下では、全ての企業はプライステイカーであり、企業のパフォーマンスの
期待値は標準的である。
ただし、マクロ的にみた「社会的厚生」は最大となるため、
経済学的にはこの完全競争を目指すことを一義的に、
例えば、政府などは独占禁止などをおこなうということです。
おもしろいですが、企業戦略的は全く逆で、企業戦略とは
業界が完全競争よりも低い競争レベルとなるような条件を明らかにし
それによって企業が標準レベルを上回る経済的パフォーマンスを
挙げる方策を発見するという目的があります。
備忘録的に、話がいろいろと飛びましたが、
企業におけるコスト優位の手法を探ることは、常に我々にとっても
大きなテーマの1つであります。
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