Google、モトローラ買収の背景
Googleが、今年はじめ旧モトローラが二分割されて出来た、
モバイル部門のほう、モトローラ・モビリティを買収すると発表。
買収金額は125億ドル。
これは、発表時12日時点でのモトローラ社の終値に63%もの
プレミアムを上乗せした一株あたり40ドルの計算になります。
大変な驚きと共に、この発表を聞いて多くの人が、直感的に
「GoogleもApple化するのか?」
と思った方も多いはず。
つまり、モバイルにおいてはアップル型のハードウェア&ソフトウェア
統合ソリューションの形の方が、PCのような汎用ソフトウェアとハードウェア
プロバイダとを分離して考えるモデルより優位性が高いという事を
暗に認めたことになるのではないか?と。
そうなると、Googleの現状を考慮すれば、
逆に不安な事の方が多いように感じます。
まず、スマートフォン市場のハードウェア販売は競争が厳しすぎる。
そのうえGoogleのコア・コンピテンシーと比較してもあまりに
ハードウェアの製造・販売は畑違いではないか。
では、今のモトローラにこれらに関する他社を圧倒する目覚ましい
ソリューションがあるかというと、そうでもない。
しかも、現在世界的なスマートフォンのOSシェアでは
トップのGoogleのAndroid。
現状のAndroidを沢山つかってくれているHTCやSamsungといったメーカー
などとも競合になるわけだし、個人的には、
「んん?グーグルさん、そこは広げないほうがよいんじゃない?
しかも、そんな高額なお金を払ってまで」
と思ったわけです。
しかし、その後、彼らのプレスリリースや報道の詳細をみていると
本当の買収の目的(少なくとも建前上の目的)は少し、毛色が異なる
ようでした。
そこにあるのは
「Androidエコシステム(Androidを取り巻く環境全般)
を防衛するための特許戦争への対応」
ということです。
Android OSは、周知のとおり、あらゆるハードウェアメーカーが
無料で利用できるオープンソースソフトウェアです。
これはAppleの閉鎖的な「iOS」やライセンシーにソフトウェア使用料を請求する
Microsoftに対抗する戦略といえます。
結果、スマートフォンOS市場ではトップシェアにのぼり出たAndroid。
しかし、この戦略に対し競合、特にAppleとMicrosoftは黙っていません。
すなわち、彼らの持つ特許を侵害していると、この2社が結託して、
特許訴訟攻撃をおこない始めました。
競合他社にしてみれば、なんとか携帯メーカー各社がAndroid OS
を使う際のコストを引き上げたい。
この「無料で使える」というAndroidの最大の強みを崩したい
ということです。
Googleの発表をみていると今回の買収は、これらの動きに対抗するために
自社の特許ポートフォリオを強化するということに、その最大の理由が
あったと主張しているようです。
モトローラ社は現在の携帯市場においても創業80年を超える
老舗企業の1つ。
彼らが保有する特許は17000以上。
出願中の特許も約7500と言われてます。
これらを自らのものにすることで、AppleやMicrosoftの攻撃を防衛しよう
というのが本当の狙いだという事です。
このように、今回の買収金額をGoogle事業の根幹の1つになった
「Android エコシステム」を守るための費用とみれば、決して高くはないという
判断なのかとも思えてきます。
ちなみに、今年の6月30日には、破綻したカナダのNortel Networksの特許群
6000件を、特許競売としては史上最高の45億ドルという値で、
AppleやMicrosoft、Research In Motion(RIM)を含む入札者で
構成されるコンソーシアムが競り落としました。
この競売に当初から名乗りを挙げていたGoogleは負けたのです。
しかし、それから1カ月も経たないうちにGoogleは
米IBMから1000件以上の特許を購入していたことが報じられました。
このようにみると、今モバイルOSの競争は
この「特許戦争」に集約されつつあるとみる事ができます。
各社とも、この部分を強化せざるを得ないということ。
今回のモトローラ買収の背景も、このような一般消費者からは見えにくい
熾烈な競合間競争がその背景にあったものと思われます。













